鞍手郡在住　Tさんの住まい

実家の隣地を購入し友人の建築士とつくりあげたのは里山の自然を室内に取り込む大きな窓が特徴の家。4つの箱と3つの接続空間を行き来することでおうち時間にメリハリと豊かな時間が生まれています。

 

職住融合の時代ならではの
新しい間取りが魅力的！

南側外観。外部に露出した梁は全面に日よけの建具を取り付け可能で、将来にわたって成長する家である。外観はまるでラグジュアリーホテルのよう

 

4つの箱と1つの接続空間から構成されるTさんの家。右から1つ目の箱がご主人の書斎と納戸、2つ目の1、2階に水回りと子ども部屋、3つ目にリビング、4つ目の1、2階にダイニングキッチンと主寝室を設け、それぞれの接続部に、玄関や廊下、階段や収納を配した大胆な間取りが特徴だ。古墳のある裏庭をはじめ周囲の自然を室内に取り込む巨大なFIX窓を用いた造りは、20世紀を代表するアメリカの建築家ルイス・カーンの『エシェリック邸』から着想を得たもの。室内のどこにいても視線の抜けが良く、プライバシーを確保しつつも開放的なのに驚く。

用途ごとにゾーニングされた空間は「暮らしにメリハリがあっていい」と語るTさん。特に、リモートワークが多いご主人は、落ち着いて仕事ができる環境ができたことに喜ぶ。「キッチンとリビングは別ですが、ガラス越しにお互いの様子が感じられるので安心ですよ」と奥さまもにっこり。

 

設計・施工を担当した[イン＆エムスクエア]の代表・市﨑さんとご主人は、20代の頃に仕事を通じて出会い、互いに信頼を置く間柄。「いつか家を建てる時は市﨑さんに」とかわした長年の約束を、この家で叶えたのだそうだ。

 

玄関からリビングまでの直線が美しい廊下。両脇には水回りや収納がまとめられ機能的

 

裏庭側の壁一面と、道路側の高い位置に設置されたFIX窓によって自然光が降り注ぐリビング。吹き抜けを通る2階の渡り廊下は、主寝室と子ども部屋を繋いでいる

 

 

 

デザイン性と機能性の両立で
ゆとりのある暮らしを実現

Tさんがオーダーしたのは「長く飽きずに住める日本人らしい家」。小国杉や漆喰など、時が経つにつれて味わいが深まる自然素材を使用し、腕のいい大工の棟梁がじっくり時間をかけて仕上げた空間は、その言葉が見事に具現化されている。「感覚が鋭い方なので1伝えたら10提案してくれるので安心できますよね」。さらに、市﨑さんの建築の魅力は「デザイン性と機能性が両立しているところ」とご主人。「夫婦揃って片付けが苦手なので、家事動線や収納などの利便性が追求されたことで、家事の時間が短縮され、心の余裕が生まれました」。また、お子さんが家に友達を呼ぶようになったのも嬉しい変化だったそう。「家族で焚き火を囲んだり、リビングの土間で、薪ストーブの火を眺めながら夫婦でお酒を楽しんだり。豊かな時間を楽しんでいます」。

 

裏庭を望む明るいDK。オーク材を使用した家具調の造作キッチンには隠せる収納がたっぷり

 

接続部分の2階に設けた眺めのいいスタディコーナー。奥にはロフトやハンモックが楽しい兄弟それぞれの子ども部屋が

 

吹き抜けにロフトを設けたご主人の書斎。壁一面の窓から裏山の古墳が見渡せる

 

深くせりだした軒下の坪庭や、焚き火を囲んでくつろげる裏庭のセカンドリビングなど内と外を繋ぐ空間がいっぱい