リノベーションでも新築でも、住まいづくりを考えた時、どことつくるのか、誰とつくるのかはとても重要だ。
ハウスメーカーや工務店など多くの選択肢がある中、今回ご紹介したいのは“設計事務所”という存在。
「そもそも頼んでいいの?」「どんなふうに進んでいく?」「なんだか難しそう…」といった素朴な疑問を
《永田建築事務所》代表・平山善雄さんに尋ねました。実は敷居は高くなかった、設計事務所との住まいづくり!!
設計事務所の仕事は
設計業務と管理業務
初めに教えていただいたのは、設計事務所がどんな仕事をしているのかについて。
「僕たちの仕事は大きく分けると２つで、設計業務と工事監督まで含む管理業務。設計だけということではなく、住まいづくり全体に関わっているのです。もちろん、スケジュールやお金のことまでお客様をサポートしています」。
最近は工務店が設計から施工・管理まですべてを一社で行なっている場合も多いが、設計事務所は施工会社と協力して住まいづくりを行なっているのだ。
「そこで異なってくるのが契約形態です。お客様が工務店さんにお願いするのならば工務店さん１社との契約になりますが、設計事務所にお願いすると設計事務所と施工会社の２社との契約になります。お客様側から考えると、その部分は多少の手間となることは否めません。しかし、僕たちはデザインに関する情報収集を日々行なうなどしながら設計に特化した仕事をしており、住居だけではなく様々な建物づくりを手がけています。その中で培われた技術や経験から高いクオリティを生み出すことができるのです」。
１９８３年に創業した《永田建築事務所》も、住居、学校・幼稚園・保育園、病院、商業施設、茶室、寺社仏閣など多くの建物を手がけている。「僕は２代目ですが、先代の時代から、なんでもやっているんですよ（笑）」。
暮らし方や希望を考慮した
お客様第一の住まいづくり
次にうかがったのは、建築事務所がつくる住まいは、建設事務所の個性が突出したデザインになってしまうのではないかという疑問。「建築家は、それぞれが好きなテイストというのはあると思いますが、お客様とゼロから作り上げていくのが僕たちの信条です。お客様の感覚にどう寄り添えるかがとても大切ですね。景色や風など環境を読みきった場所に対する提案、その場所にその空間がある意味、お客様の希望を重ねてつくっていくこと…ひとつとして同じ空間は生まれません。
特に住まいの場合は、どれがいいとか悪いではなく、お客様がいいと思えるかどうかですね。だから、わがままをどんどん言っていただきたいと思います。一緒につくりあげることで空間の幅（深み）は広がります。大きなフレームを考え、そこにお客様の暮らし方や趣味志向などを加えていくことで最適解を出す。それが僕たちの仕事です」。設計事務所は、決して自分たちの作品づくりをやっているわけではないのだ。
「僕の好きなテイストは、ユーモアがある建築。奇をてらうわけではないけれど、建物自体にも個性があって、見た人が楽しくなって街をおもしろくする建築です。お客様のキャラクターにこのテイストを添えることができるなら最強ですね（笑）」。
住まいづくりに関して
お客様の良き相談役に！
住まいづくり初心者である取材班の質問に、やさしくわかりやすく答えてくれる平山さん。敷居が高いというイメージが強い設計事務所への相談が、身近なものに思えてくる。「僕たちは、住まいづくりの便利なコンシェルジュと考えてもらってOKなんですよ（笑）。
お客様と対話しながら様々なことを聞き出して提案していきますから。みなさんが気にされる金額についてもぶっちゃけた話をしていただいて構いません。初めに全体の予算を伝えていただければその範囲で組み立てていくことも十分可能です。ただ、相性というものはあるので、信頼できる方と一緒にやることが大切ですね」。
リノベーションに関しても、平山さんの〝コンシェルジュ〞精神は変わらない。「物件を一緒に見に行くこともあります。お客様も僕も『なんかいけそう』という感覚になって盛り上がるのは楽しいですね。リノベーションは制約が多く、アイデアとしても技術としても高いものが要求されます。お客様とつくりあげていくことは僕の喜びでもありますから、お客様の想いにカメレオンのようにシンクロしていきたいですね。それから、元々の構造や素材などから感じるインスピレーションを生かした空間づくりを目指しています。例えば、現地に行った時に風の通り道が見えて、それをベースにデザインしたこともありますよ!!」。
設計事務所が目指すのはお客様の理想の住まいづくり。住まいについて考えている方は相談してみなければもったいない。
永田建築事務所
代表取締役
平山善雄さん
Profile
一級建築士。九州大学工学部建築学科卒業、九州大学大学院人間環境学府空間システム専攻卒業。東京の清正崇建
築設計スタジオ勤務の後、永田建築事務所に入社し、2019年に代表取締役就任。学生時代はサッカー部所属、最近
はドラマ視聴が癒しの時間とのこと。
有限会社 永田建築事務所
福岡県糟屋郡篠栗町中央4-9-70
☎092-692-7170
