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リノベーションの達人たちに聞く、多様性と変化に順応した快適な家づくり

 

リノベーションの達人たちに聞く、
多様性と変化に順応した快適な家づくり

 

株式会社タムタムデザイン
代表 田村 晟一朗 Seiichiro Tamura
(左)
’78年高知県生まれ。建築系専門学校を卒業後、設計事務所やインテリアデザイン会社を経て、34歳で(株)タムタムデザインを設立。
’21年、人吉の発船場で『リノベーション・オブ・ザ・イヤー』3回目の総合グランプリを受賞。九州工業大学非常勤講師。
 
リノベエステイト
株式会社アポロ計画
代表 松山 真介 Shinsuke Matsuyama
(中)
一級建築士。’68年北九州生まれ。九州芸術工科大学(現・九州大学)卒。’00年クリエイティブカンパニー「アポロ計画」を設立。
中古建築再生に特化した事業部『リノベエステイト』代表として、リノベーション協議会九州部会会長も務める。
 
オルドギア
有限会社ひまわり
広報 杉 佳亮 Yoshiaki Sugi
(右)
有限会社ひまわりのリノベブランドOLDGEAR(オルドギア)のチーフデザイナー兼プロデューサー。
売買専門の鑑識眼で資産性の高い住宅を見極め、大学などと恊働しながら「買取再販」に取り組む。2019北九州SDGsアワードでSDGs賞受賞。
 
 

中古物件の買取再販
唯一無二のデザイン

 
 「リノベーション」という方法で福岡・北九州の「家」の課題解決に取り組んできたエキスパートたち。ワークスタイル、ライフスタイルの変化に伴う需要の傾向、そして今後の展望について、それぞれ違う立場からの話を聞いた。
 

―今日はお忙しい中、お集りいただき、ありがとうございます。まずは、オルドギアさんの『買取再販』について、教えてください。
 
「以前は『不動産を買う』と言うと、新築。中古でも、お金をかけてリノベーションするということはほとんどありませんでした。リノベーションという概念が加速度的に浸透してきたのは、ここ20年です。田村さんにデザインをお願いしたのが10年前。私たちは中古不動産を購入し、リノベーションしてから販売する『買取再販』を主業務としています。
 代表が買取再販を続けて40年になりますが20年前までは中古住宅を購入しても、せいぜい壁紙や床をやり直すだけで、予算も150万円以内のリフォームがほと
んどでした。
 中古=安いというのがこれまでの概念。新築至上主義の中で中古に付加価値をつけて売れるかわからない中で我々はチャレンジを続けてきました。中古住宅に価値を付ける、価値が付くという概念が無かったのかもしれません。リノベーションという言葉が一般のお客様に知れ渡った今となっては新築だけでなく選択肢が広がり、最近は、中古をリノベする方がカッコいいという時代になってきました」。
 

 

事業主の悩みをデザインで解決
リノベデザインのカリスマ

 
―テレビ東京「ガイアの夜明け」を拝見しました。黒崎の寿通りのような商店街再生の他に、田村さんが現在手掛けていることは?
 
田村「人吉で川下りの発船場を、大分県別府では事務所機能をもつ住居、あと長崎でサウナの設計をしていて、松山さんにアドバイザーで入っていただいています。あと、北九州でオルドギアさんの物件も手掛けています。今やっているカスタマーさんの物件は、家の中で仕事もする、ただ住むだけではないコンテンツになっています。今後増えるスタイルですね」。

松山「タムタムのしている仕事は、大量生産大量供給される前の『社会実験』だよね。商店街に住まうとか、断熱性の高い住宅をつくろうとか、新しい売り方とか。大手が自社だけでは商品開発できない時に彼がコンサルとして入ることが多いから、大量生産の手前の仕事。4年後のスタンダードをつくる、むしろプロ受けの人です」。

田村「話しやすいのは経営者さん、事業主さんですね。さっき言われたように社会実験を先にやってみましょうというのをうまくプレゼンして、実現させていく。B to Bがほとんどです。住まいというと、ごく一部で熱烈なファンレターをいただきますが、その時はお受けしています。僕はデザイナーなので、あるブランドがこのデザイナーを起用するみたいに、基本的に事業主の商いが上手くいくように起用される方なんです」。

松山「タムタムはキーストーンをつくる人。彼が出した正解を他の人がコピペする。コピペされるために呼ばれている(笑)」。

田村「ありがたいですね(笑)」。
 

 

業界を牽引し続け20年
リノベのオートクチュール

 
松山「世の中には大量生産大量供給のファストファッションみたいな買取再販がほぼ9割を占めていて、それは会社がブランドを出さずにこっそりやっている。詠み人知らずのデザイン。でも杉さんのところのデザインはトンガリ系だから、ブランドに喩えるとコム・デ・ギャルソン、田村さんはトム・フォード」。

―チョイスがさすがです!

松山「部会長なので、みんなの人気取りをしとかなくちゃ(笑)。で、うちはオートクチュールなんです。セミオーダーだったりフルオーダーだったり、みんな住み分けしているんですよね。

「だからうちに来ても満足いかない人はお2人のところに行っていただいたりしています」。

松山「一番小さいマーケットでやっているのが僕らかもね。オートクチュールで服を作ることは今はないでしょ? プレミアムな請け負い型のオーダーメイドの家をつくっています。中古マンションという土地に注文住宅を建てているイメージです。さらに今はリノベーションのプレイヤーも増えてきているから、各社得意・不得意をもつようになってきています。またリノベーション協議会の中でも得意不得意をもとうとね、となっています。すべてのデザイン、すべてのターゲットに対して完璧な答えを一社が出せるほど小さくはない。ご要望は凄く広いから。ニーズ、デザインも。今、福岡市がいい具合になっているのは、そういうプレイヤーが何人かいて、本当はなんでもできるけれど、自分らしさをそれぞれが打ち出した『集合体』があるから。僕は、車でいうとレクサスみたいなものをつくろうとしています」。
 

 

コロナ禍が加速させた
ライフスタイルの変容

 

田村「新築至上主義じゃなくなってきましたね。さっき杉さんもおっしゃってましたが、『中古を買った』というのが恥ずかしくない時代になりつつあります。『中古物件を買ってリノベしたから今度遊びにおいでよ』って言われて、見に行ったらすごくカッコ良くて『リノベいいじゃん』ってなる、そういう時代がやっときたんじゃないかな」。

「大手さんだと、10人中8〜9人に受ける商品をつくらないといけないと思うのですが、僕らは小さな会社なので、1〜2割に受ければいいという、ちょっと強気なスタンスです。売れないこともありますが、リノベーション=『カッコいい』とか、『エコ』とかになっていったらうれしいな、と思います」。

―若い人は昭和がカッコイイと思う傾向もありますね。

「まだ価格の安さがメインだったりもしますが、リノベーションを選んでいる方は心が豊か。軸が違うところにあるようです。住まいにお金をかけられる方はすごいと思います。日本では『衣食住』の中で『住』は一番後回しになりがちです。特に男性は。服とか車とか別のことにお金を使ってしまっているので、家に関心を持たれる男性は少ないかなと思います。でも家は一番長くいるところだから、もっとこだわっていいと思います。『人生の三分の一は睡眠時間だから枕は大切』というCMのように。コロナ禍を経て、おウチ時間の快適さが大切になりました」。

―少し先のスタンダードを提示するために、何をしていますか?

田村「単純に先輩方がやってきたものの、これいいな、と思うものを膨らませるだけなんですけど…」。

松山「たぶんね、未来はもうここにあるんですよ。それを誰よりも早く敏感に感じ取るかどうか。だから、ゼロからイチをつくる仕事のように見えるかもしれないけれど、もしかしたらそのヒントは文学にあるかもしれないし、政治、ファッション、思想、文化にあるかもしれない。みんなまだはっきりと気づいていないだけで。じゃないとみんなに受け入れてもらえない。あまりにもすごいものだと暮らしを想像できない。芸術家だったら、感じたことを爆発させていけばいいけれど、タムタムは建築家だから、商品をプロトタイプまでもっていって、それから先を、大手がマスプロダクトにしていってるんです」。

―リスクも背負いながらの社会実験ですね。

松山「誰もしないから、僕らがするしかない。うまくいったものを大手がやる。一番損しているよね(笑)。僕らは『チェンジメーカー』だから。
世間一般でリノベーションってハードの話と思われがちなんです。『ビフォーアフター』とか、驚きの空間の変化とか。でもその次のステージとして、ぼくらの社会実験は、デザインの挑戦ではないんです。使われ方のリノベーションなんです。どんな利用の仕方をするのか、どんな暮らし方に寄り添うのか。僕らは10年前くらいから家の中にスモールオフィスをつくっていたし、土間があってアウドドアのカルチャーを家の中に取り入れていた。あ、それはハードか(笑)。

 例えば、家でおけいこ事をしているような人もいたりしたし、働き方とか暮らし方とかそいういう使い方、タムタムが黒崎でやっている『住みながら、働きながら』という、本来日本の商店街でやってきたことを現代風に翻訳していたり。『空間かっこいいやろ?どう?』というのとは違う、使われ方のリノベーションなんです」。

田村「多様性をどうやったら生み出せるかですよね。今までは用途や使い方が限定されていて、カフェでイベントをし出したのが、ほぼ15〜20年前。家の使い方も住まい方も、本当に変わりつつあって、その可能性をどんどん広げていっています。『クラシゴト改革』とか、落合陽一さんの『Work as Life』とか。「On」と「Off」じゃない生き方。グラデーション化されている中の1点、1点を模索しながら表現しています。

 

カスタマーの多様化と
個人の暮らしに寄り添う家

 

―未来はどういう展開になると思いますか?

松山「それぞれの違う未来を見ていると思いますが、例えば僕が見ている未来は、住宅購入者層のメインである30代以外の家づくり。子どもが巣立った後の夫婦、事実婚のカップル、LGBTカップル、結婚しないと決めた単身者の家づくり。年齢とともに世界の見え方が変わってきて、僕が住みたい50代からの家がないので、それをつくりたいと思っている。20年前に自分が住みたい家がなかったから、リノベーションをはじめたように、大人の2人暮らしをリノベでつくる。もしかしたら、大きな家の一部をシェアハウスにしたり、お店にする可能性もあるし。empty nesters(=子が巣立った親)の家づくりとかね」。

「一人暮らしといっても事情は様々。一人暮らしになったとしても、暮らしの水準は下げたくない、その選択肢としてリノベを選んでくれる人も多いです」。

松山「そういう人向けの新築はないものね」。

「そうなんですよね。年齢や性別に関係なく人生は人それぞれ。必ずしもファミリー層ではない。そういう受け皿として、リノベが選ばれている気がします」。

松山「うちがつくっている家は、半分以上が1LDK。でも100平米超え。二人暮らしなので部屋がいらいないから」。

―田村さんが見据える未来は?

田村「多様性ですね。暮らしながらお金を稼ぐという時代になっているのかな。用途を区切らないということは、家のダイニングに1日1組限定で自分がつくったものを提供するとか。ヨガスクールとか絵画教室を自宅でやるとか。昭和はけっこうそういう時代だったんですけど、もう一回そういう時代がくるんじゃないかな」。

松山「僕が子供の頃は人の家に習い事をしに行きよったよ。習字とかそろばんとか」。

田村「どこかお勤めされながらも時間を使って商いをする時代は来るんじゃないかなと思いますね」。

松山「現代は所有というものの境界線があいまいになってきている、ということも関係するかもしれませんね。いろんなものがシェアされていて、自転車、カーシェアも。家だって『ここからここまで俺んちだから何人たりともここから入ってくるな』じゃなくて、むしろ、1時間1000円で入って来てって言えるし、自分ちに全部なくても、どこかで借りればいいから。うちの事務所も、ショールームをみんなが借りにきています。全部自分で調達しなくてもいいから、豊かだしSDGsな気がするよね」。

田村「住む場所が、住むだけじゃなくなってきていますね」。

「松山さんも『庭がなければ公園に行けばいい』と書いてましたね。借景もそうだけれど、全部を自分の家に入れなくていい」。

松山「所有しない分、別のところにお金が回せる。立派なLDKがあってもワインを買うお金がなければ貧しいけれど、シェアして浮いたお金で高いワインを買って、シェアしたLDKで飲めたらいいですよね。

 あと、10年前、日本でシェアハウスなんて絶対成立しないと言っている人もいたけれど、フタを開けたら、今やシェアハウスって一般化している。あのシェアハウスの動きも、リノベの魔法がかかってましたよね。その成功例を見て、他の人がコピペしてやっているけれど、やっぱり最初にあれを始めたのもリノベのプレイヤーたち。もういっこ先の未来は今、みんなが社会実験しているんだよね。そういう意味では、テクノロジーがちゃんとついてきているから。スマホのアプリがプラットフォームとしてあるから。僕はパーソナルトレーニングをしていますが、先生たちはアプリでシェアスタジオを予約して教えてくれてます。自分の家にジムをつくるのはナンセンスですよね」。

 

福岡リノベ界のパイオニアが唱える
自由な住まい方、暮らし方。

 

 

ライフスタイルに合わせた
住み替えとリノベーション

 

松山「建築家は三次元の空間をつくると思われていますが、僕は四次元で、時間軸まで落としこんで考えています。リノベーションは新築の反意語ではなく、全ての住宅は、一歩足を入れると中古住宅になります。時間軸までデザインすると、SDGsでいい家づくりだね、とリノベーションが言われるようになる。そういう意味でも低燃費で低炭素の家づくりは、社会貢献になるんです。長くもつ家、売却可能という点でも」。

「まだ3LDK 、4LDKと、部屋数で選ばれていますね。本当は広い1LDKとかつくりたいし、オーダー色、個性が増えてほしいです。僕いつも思うんですけど、マンションが60戸あったら、その1部屋だけのためにめちゃめちゃ熱を注いでリノベプランを考えてる。マンション分譲時にパターン分けされた規格化室内よりも、高い熱量でプランされた家が選ばれないわけがないと感じています。その思いを伝えるのが僕らの役目だと思うし、これからフィーチャーされていくと思います」。
 
 
 

|取材協力|
 
|株式会社タムタムデザイン
http://tamtamdesign.net/
 
|リノベエステイト
株式会社アポロ計画
https://re-estate.net/
 
オルドギア
有限会社ひまわり

https://old-gear.com/
 

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