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FUKUOKA LIFE STYLE|和と北欧がとけ合う住まい 安らぎの、サンクチュアリ

 

糸島にあるデンマーク家具と北欧雑貨の専門店「ハミングジョー」のオーナー、
赤星夫妻が昨年夏に建てた自邸を初公開。
和の繊細なデザインが息づく住空間と、ご夫妻愛用の名作インテリア。
自然と静寂に包まれて、心穏やかに過ごす
“サンクチュアリ”を感じて。

 

憧れの建築家とつくった
海辺の近くに建つ平屋

 
humming joe オーナー 赤星夫妻

1950~60年代を中心としたデンマークのヴィンテージ家具、
北欧、イギリスの厳選アイテムを取り揃える家具専門店を営む。
店名のジョーは愛猫の名前から。
 

 

 

 

 
以前は幼稚園があった場所で、その後、空き地になった時は、“みんなの広場”と呼ばれ、ご近所の花見スポットだったそう。
外観は家が傷まないように軒を深くして切妻屋根に。お天気の日は、太陽が恋しい北欧の人たちが暮らすように、デッキに出て森林浴を楽しむそう。キッチンキャビネットには、和洋どちらにも合うバレンシアの食器などを収納して。リビングは、モーエンセンのソファやウェグナーのサークルチェア、ボビンスツールなどをバランスよく並べて、スウェーデンのアンティークのタペストリーを飾って空間のアクセントに。
 

敬愛する建築家に依頼した
友人たちとくつろげる家

 
 樹齢20年ほどの桜の木とヒマラヤ杉が、新緑を告げる頃。無骨な肌をした岩組みの玄関アプローチに、樹々の葉が影を落とし、軒の深い平屋がそっと迎えてくれた。
 採光を抑え、静やかな気配が漂うエントランスには、コレクターなら、目を奪われずにはいられないルイス・ポールセンデザインの照明がさりげない主張を見せ、家主によって生けられたヤマユリがデンマークチェストの上で美しく佇んでいる。

 『ハミングジョー』のオーナー、赤星夫妻の自宅は、着工から1年ほどかけて、昨年の夏に完成した。「数年前から家を建てようかと考えていた中で、私たちがこれから年を重ねていく上で、人との交わりを持ちながら暮らしが楽しめるような家、気軽に人が呼べる場所にしたいねと話していたんです」と、お茶を淹れながら奥さまの博子さんが穏やかなトーンで話す。

 そこで、以前から親交のあった建築家の柿沼守利さんに依頼することに。柿沼さんといえば、湯布院「亀の井別荘」の改修設計などで知られる建築家だ。「仕事でのお付き合いが、きっかけでした。建築や暮らしに対する美意識と仕事に対する厳しい姿勢、その反面ユーモアがあり、さまざまな方へ気配りをされるお人柄などに触れさせていただき、信頼を寄せてお願いしました。引き受けていただけるか、ドキドキしましたが」と、当時を思い返す。

 ご夫妻が家づくりのベースにしたのは、糸島に数軒ある柿沼さんが手がけたお宅の中の1つだった。「うちのお客さまのご自宅なのですけれど、拝見させていただいた時に空気感がただただ心地よくて…」。そこを参考に、希望する間取りを鉛筆で描いて、あとは予算だけを伝えたのだそう。「私たちは家具のコーディネートはできますが、建築に関しては素人。全てお任せした方が良いものができるだろうと考えていました。
だから、工事中もお任せ状態で、使用する素材や壁の色、床の感じなども全て仕上がってから知ったんです」と、こちらの驚きとは逆に、至ってマイペース。

 信頼と感謝。目には見えないこれらの気持ちを大切に、全てを委ねた結果、完成した住まいは「私たちの想像を超えるものでした」と、赤星夫妻は笑顔を見せた。
 


 

 

 

 
キッチンは、家事をしながら自然の景色に癒されるよう配慮された設計。リビングの一角にはデンマーク製の壁掛け収納を。「北欧では身近な家具のスタイルで、組み
替えが自在だから便利なんです」。「幸せを呼ぶ馬」として愛されるスウェーデンの伝統工芸品も飾って。ダイニングのペンダントライトは、アルヴァ・アアルトのゴールデンベルを飾って、華やかさをプラス。
 

日常づかいの経年変化で
味わいと輝きを深めて

 
 「普遍的で環境と調和した落ち着きのあるデザイン」が柿沼さんの建築におけるコンセプト。ゆえに、「使用する素材やデザインは、既存の住宅や施設からイメージできましたし、何の不安もなかった」とお二人は話す。

 希望した間取りはLDKと主寝室、ゲストルーム、水回りというシンプルな造り。ゲストとゆったり過ごせるように広さを取ったリビングは、お気に入りの椅子やソファで、居心地よくゾーニング。

 庭の風景が絵画のように目に映る心地よいデザインのキッチンは、網代素材が美しく、北欧の食器にもなじむ。エクステンションのダイニングテーブルは、北欧家具の巨匠、ハンス・J・ウェグナー作。「このテーブルをはじめ、日頃は手に入らないものが、家を建てている時期にたまたま見つかって、びっくりしました」と、買い付けのエピソードを伺いながら、ウェグナーCH23の座り心地のよさについ腰が落ち着き、会話が弾む。

 コレクターには堪らない家具や椅子も、赤星家では日用品。住まいというおおらかな器とともに、使い込まれながら、どんな味わいや輝きを見せるのだろうか。
 

 

 

 

 

 
家全体の天井部分は全体的に断熱材を入れ、通常は下地材として使われていたヒノキの木毛セメント板を用いたソリッドな造り。断熱・吸放湿・防火・防音などに優れているそう。玄関を入って、右手はプライベートゾーン。主寝室は自然光をとり込む障子と格子の意匠が美しく、石目調フロアタイル、細やかな造りの木製クローゼットなどとともに、落ち着きのあるトーンでまとめられている。寝室やゲストルームには、ご夫妻が希望したルイス・ポールセンの「VL38」(ラジオハウスランプ)復刻版を使用。
 


 

 

 


 

humming joe

 
福岡県糸島市二丈浜窪179-1
092-325-3690
11:00~18:00
休:水曜(祝日の場合は翌日)
https://www.hummingjoe.com/

 

家具も住まいも
長く愛されて名作に

 


 

 日頃、店舗では博子さんが接客や事務的なことを、ご主人がメンテナンスを行なっている。家具選びしながら、年に3回ペースの買い付けで見てきた、リアルな北欧事情や旅の話なども聞けるとあって、ラフで楽しいお二人を慕い、足繁く通う人も多い。
「忙しい毎日ですが、朝、仕事に出かける前に、主人はすぐ近くの海へ散歩に出かけるのが日課になりました。私はデッキで新聞を読んだり…最高にリラックスできる
ので、出かけても早く家に帰りたくなるんです」と微笑む。
 

 
 家を建ててから、ご近所さんをはじめ、北欧やイギリスから友人が訪ねてきたり、スタッフも事あるごとに遊びに来ているそう。
「桜の時期は、お昼休みを利用してスタッフも交替で来て、お花見ランチをしました。気分転換できたと喜んでくれたみたいです」。

 家づくりを考え始めた当初は、フィンランドの展示場を見てログハウスを検討していたというご夫妻。経年変化で木の味わいが増していくのを見て、輸入しようかと
考えたこともあったそう。
「でも日本家屋は日本の街並みに馴染むかなと思って。外国に行くと、日本の文化っていいねと度々言われるんですね。北欧でもそうで、私たちがよくお客様に伝える
中で、北欧と日本は感性が似ていて、木の家具が日本の住空間に調和するという話になるんです。

 それで、私たちは手入れしやすい今風の家のスタイルはしっくりこないけれど、柿沼さんが手がけられたお家の、鉄や木の使い方、10年経った外壁の風合いも素敵だなと思い、和と北欧とうまく融合できたらと思ったんです。本来ならば、家具も柿沼さんがコーディネートなさるのですが、私たちが家具屋ということで、家具は任せていただきました」。

 時を経て、使われてきたものを手入れして、望む人へ手渡すご夫妻の仕事。それは、名作と呼ばれ、半世紀以上にわたって今に残るデザインの継承が行なわれている証でもある。普遍的なデザインを追求した住まいもまた、住まう人によって長く愛されるほどに名作となる最たるものだろう。

 和と北欧、自然と人間が出会い、調和が育まれる空気感、ゆるやかな時の流れに、癒され、守られているような気持ちになれた赤星邸。暮らしを楽しむことを大切に、そこから得られる心の豊かさを、訪れる人たちと分かち合える、愛に溢れる住まいだった。

 
取材協力:humming joe 福岡県糸島市二丈浜窪179-1 092-325-3690 https://www.hummingjoe.com/

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